仕事を終え、いつものようにバスで帰宅の途に着いていた時のこと。突然、若い女性客が車掌のおばちゃんと言い争いを始めた。おばちゃんが彼女の交通カードを他人のものと取り違えたらしい。
「200元も入っていたのに!私のカードを返してよ!」
「(似たようなカードばかりで彼女のカードがどれか)わかるわけないじゃない!」
取り違えた背景には多少、説明が必要だろう。上海には、料金が一定(市内の空調付きバスは2元)のワンマンバスと距離によって料金が異なる車掌付きのバスとがある。ワンマンバスは前方のドアから乗り込んで、運転手席の側に取り付けられているコイン投入箱かカードリーダーで乗車料を支払う。一方、車掌付きのバスの場合、車掌は中央のドアの後方に陣取っている。カードリーダーは固定式とハンディタイプがあり、たいていは固定式で車掌席の目の前に取り付けられている。
乗客は中央のドアから乗り込んだ場合、カードリーダーにカードを当ててから奥に進めばいいが、前方のドアから乗り込んでわざわざ車掌席まで赴くのが面倒な場合や空席が少なくて席を確保するのが優先される場合、車掌が乗客席まで出向いて料金を徴収してくれる。支払いが現金であればその場でやり取りすれば済むが、固定式カードリーダーの場合、車掌はカードを受け取って車掌席まで戻り、また乗客席までカーを届ける必要がある。この場合、何度も往復するのは面倒なので、車掌は一度に何枚ものカードを持って車掌席まで戻る。ここで取り違いが起きやすい。
最近では交通カードも様々なデザインがあり、キャラクターが印刷されていたり、あるいは超ミニのカードが販売されていたりもする。しかし、流通量が圧倒的に多いのは基本の水色だ。混ざってしまえばどれが誰のだかわからない。
この女性がなぜカードの取り違いに気付いたかというと、他のカードと区別するためにカード上に文字を書いておいたかららしい。だが取り違いに気付いた時には後の祭り。超満員のバス内では取り違えた相手が誰だかわからなくなってしまったようだ。
そもそも車掌が注意していれば取り違いも起きなかったはずだが、おばちゃんの注意力なんて所詮そんなもの。始発で乗車した私も、このおばちゃんに間違われかけた。もっとも私の場合は、別のカードがオレンジ色だったので一目で違うとわかったのだが。
それにしてもこの車掌のおばちゃん、「私は悪くない!」の一点張り。女性が会社にクレームを付ける素振りを見せても動じない。しかも女性が普通語なのに、おばちゃんは上海語で反論。上海おばちゃんクオリティの見事な対応だ。・・・
私は交通カードを1元で購入した透明のプラスチックケースに入れているが、それだけではやはり区別が付きにくいかも知れない。カードを紛失した経験があるので、一度に100元しかチャージしないようにしており、取り違えられても最小限の損失になるようにしているが。


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