先週19日、「カモメ中国転職」サイトを運営する空カモメ主催のワークショップを聞きに行ってきた。上海で転職、あるいは起業した日本人に自らの体験を語ってもらうイベントで、約30人が参加した。
ゲストスピーカーとして、当ブログでも紹介したことのあるアルトコーヒーの野村さん、現地法人を買収して起業したa-solの門脇さん、上海などでフリーマガジン「コンシュルジュ」を発行するチャイナ・コンシュルジュの齋藤さんが講演。インテリジェンス上海の金さんと上海テンプスタッフの加藤さんも自らの転職体験について語った。
■上海で美味しいコーヒーを届けたい
私と同じ歳の野村さんは、03年の上海旅行で「絵の具を入れたかのような不味いコーヒーを出」している状況を知り、上海でおいしいコーヒーを広めるために会社を設立。自ら電動自転車に乗って配達し、顧客へ直接、コーヒーへの熱い思いを語ることで話題になり、徐々に顧客が増えたという。現在は自らのノウハウをスタッフなどに積極的に公開しているという。「上海のコーヒー市場はまだまだ拡大し、勝機はある。まずは他のマネをして参入すべき」とアドバイスする野村さんは、次のように語る。
「自分と約束し、自分にウソはつかないこと。期限を設けること」
「成功を目標にしてはいけない。成功後も人生は続く。成功を継続することが難しい」
「踏み出す前にはわからないが、一歩踏み出せば手を差し伸べてくれる人が必ずいる」
ワクワクすることに対しては自然と身体が動いてしまうという野村さんの熱い思いは、ブログでも読むことができる。これからもコーヒーに限らず、誰かと何かを作っていきたいという。
■現地法人を買収して起業
門脇さんは長年、メーカーの駐在員としてマレーシアに滞在。03年、マレーシア企業の上海支店長として上海へ。本社と意見が合わず、これでは支店が潰れてしまうと買収を決意した。実は以前、取材したことがあって、場を茶化すのが好きな人だが、合間に見せるキリッとした表情と発言からは、経営者としての厳しさと責任感が感じ取れる。「中国ではブルドーザーのように一気に事を成す経営者が必要」と門脇さんは言う。
「考えているとチャンスはやってくる。チャンスをチャンスとして掴めるかが重要」
「口数の多い人は失敗する。人の要望を聞けるかどうか、聞いてアウトプットを返せるかどうかだ」
そう語る門脇さんは最後に、「現在は1元=約15円だが、今後は1元=約30元まで行くだろう。上海の日本人はどんどん安い労働者になっていく。自分の価値を高めていくことが必要」とアドバイスした。
■苦悩の後、上海で転職
齋藤さんは映画会社で社長アシスタントとして営業や資金調達の仕事をした後、上海コンシュルジュへ。現在は東京に逆進出したチャイナ・コンシュルジュの取締役で、やはり資金調達などの方面で活躍しているという。仕事ではベンチマークとなるお手本を探すことが必要と語り、「上海での転職では、中国に来た理由、今後のキャリアプラン、スキルが問われる。できることとやりたいことを明確に」とアドバイスした。
インテリジェンス上海の金さんは神戸生まれ、神戸育ちの中国人。中国人は日本swコックか医者になるしかないと両親に育てられたが、あにはからんや、大学卒業後にリクルートへ入社。10年勤めた後、友人にその共同経営者となることを誘われた。しかし転職に対する不安があり、自分は何がしたいのか2ヶ月間、考えに考えたという。結局、ヒューマンリソース分野、事業者、中国というキーワードが浮かび上がり、転職を決意した。私にとっては特に、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ!」というリクルートの
社訓が印象に残った。
上海テンプスタッフの加藤さんには、私も転職活動でお世話になった。社会福祉士として介護施設などで働いた後、上
海へ留学。SARSの影響を受け2ヶ月半で帰国した後、就職活動を開始。介護経験だけではアピールポイントがないと相当悩んだが、「人と接すること」をキーワードに見事、上海テンプスタッフへ入社できたという。
■“中国軸”以外の軸を
スピーチした5人は、転職あるいは起業という人生の転換点で考え、悩み、葛藤し、不安や心配を抱えながらも、結局はみな自分の内なる声に従って決断を下している。実際、インテリジェンス上海の金さんは悩んで多くの人に相談したらしいが、「(心は)もう決まってるんじゃないの?」と返されることがあったという。
昨年7月に編集職へ転職した私はといえば、実はそのかなり以前から転職を考えていたものの、「私は果たして他社で必要とされるのか?」という強い不安がずっと付きまとっていた。妻の支持もあり、「自分のやりたいことを」と転職を決断した。
もちろん仕事である以上、やりたくないこともあれば面倒なこともあるし、苦しいことや腹立たしいこともある。だが自分の内なる声に従った決断には、それに打ち勝つだけの力があることも確かだ。
上海で転職や起業を考えている人に私からアドバイスできるとすれば、「中国(上海)で働きたい」「中国語を生かしたい」という“中国軸”以外の軸を見つけることだ。経験や専門知識があるに越したことはないが、それを補えるだけのモチベーションと積極性、そして努力があれば、上海で生き生きと働いていけるのではないかと思う。
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