先日、上海のある会計士さんに取材をしていた際、思わず「あるある!」と同意してしまったことがある。その会計士さんは慣れない中国語で自社スタッフや顧客と会議をしているらしいのだが、中国人との会議では結論がいつ出たのか分からないことがしばしばあるというのだ。
私も前職でメーカーと交渉をしていた際、しばしば出くわした光景だ。中国人の会議は、とりとめのない女性の会話に似ている。中国人の同僚と工場の担当者が喧々諤々やりあっている。お互いに自らの立場を強調し、話は平行線。ひとしきり両者の主張と反論が終了した後、別の話題へ移り、また喧々諤々の議論が始まる。口数は多いが、何も決まらない。・・・
驚くのは会議の終了後だ。同僚に「あの話は結局どうするの?」と尋ねると、「えっ!あれはこう決まったじゃん。聞いてなかったの?君の中国語力はまだまだだね」と言われてしまうのだ。そんな時、私は「えっ!そうなの!?いつの間に決まったの?」とポカーンとするしかない。
私は当初、私の語学力が足りないせいで大事なセリフを聞き逃してしまったのかと思ったが、そうではないらしいことが次第に分かってきた。結論が明確な言葉で提示されていなかっただけだった。「じゃ、これはこういうことで」というセリフがない。結論が先送りになったらなったで、先送りするという合図がない。いつの間にか先送りすることが決まっていて、お互いの課題も明確になっている。
中国人同士の討論は、勝手に言いたいことばかり言っているようで、きちんとルールがあり、落とし所がある。それは路上でのケンカでも同じだ。
これがコミュニケーションギャップなんだろう。中国語ができても所詮は外国人なので、言葉を言葉の意味通りに受け取り、肝心な時に行間にある意味を見逃してしまう。翻って日本では、明確な意志発表のないままに、その場の空気で物事が決まっていくことが多い。日本特有の空気を理解していない外国人にとって、不可解極まりないコミュニケーションのはずだ。
もっとも、こうしたギャップを意識できたところで、すぐに結論が分かるようになるわけでもない。話の行方をその都度きちんと確認するしか手立てがないわけだが・・・。


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