上海は連日のぐずついた天気。浦東の「陸家嘴」地区にある地上88階建て超高層ビル「金茂大厦(グランドハイアット)」のてっぺんも、深い霧に覆われている。
今日の話題は天気でも「グランドハイアット」でもない。隣で建設中のビル「上海环球金融中心(Shanghai World Financial Center,SHWFC)」である。「東方明珠テレビ塔」からほど近く、「陸家嘴貿易区」の中心地に日本の森ビルが建設を進め、2008年の北京オリンピック前の竣工を目指している「SHWFC」は、地上101階・地下3階建て、グランドハイアットの420mを超える492mの高さで、台湾にある「台北101」ビルの508mに次ぐ、世界第2位の高層ビルとなる予定である。地上100階、高さ472mの位置に設置される長さ約55mのブリッジ形展望台は、カナダのCNタワーを抜いて世界で最も高い展望施設となる。94階には面積700平方m、天井高8mの巨大ホールが設置される。ビルの全体設計は以下のようになっている。
94~101階 展望台,ホール
79~93階 パークハイアットホテル
7~77階 オフィスフロア
(28~29階,52~53階 スカイロビー)
3~5階 会議施設
B2~3階 商業施設
B3~B1階 駐車場
今月20日、森ビルはこの「SHWFC」を「上海秀仕(上海ヒルズ)」と命名することを発表した。これに噛み付いたのが「上海市地名管理弁公室」である。建物の登記名である「上海環球金融中心」を無許可で変更してはならず、登記名と混同するような愛称の使用も認められないというのである。登記名の変更に際しても、先に英語名を決めてから勝手に中国語へ翻訳することはできないとしている。「俺たちに何も相談なく、勝手に何を発表してやがる!」と言っているようにしか聞こえないのは私だけだろうか・・・。「FujiSankei Business i.」の記事も、「森ビル側から『ヒルズ』命名で事前に相談などがなかった点が、態度硬化の一因のようだ」と指摘している。
ビル名発表と当局の反応は上海の地元各紙でも大々的に報道され、森ビルは大慌てで「上海ヒルズ」という名前はただの愛称に過ぎないと釈明せざるを得なくなった。24日には、関係各方面に誤解を与えたことを謝罪した上で、登記名を変更する意図はなく、今回の「改名」が各方面に与えた影響を取り除くよう努力するとの声明を出した。ただ、「上海ヒルズ」という愛称を今後どのように扱うのかについてはコメントを出していない。愛称は大っぴらに宣伝せず、ひっそりと使用し続けるということで収まりそうな雰囲気だが、六本木ヒルズに多くの中国人記者を招き、「命名」に合わせて専用ウェブサイトも立ち上げた森ビルとしては、詰めの一手を誤りやり切れないところだろう。しかしこれほど大きな騒動となったのは、田中信彦氏のコラムが指摘しているように、役人のメンツ以外にも、地名を変更することへの日中間の意識の違いや地名を取り巻く政治状況を見過ごしてしまったからでもある。中国でビジネスをする難しさである。
「上海ヒルズ」の歴史は紆余曲折の連続である。1994年に構想が持ち上がり、1997年に工事が始まったものの、アジア金融危機のあおりを受け工事がストップ。2003年に、全体設計を当初の地上92階建て460mから、地上101階建て492mへと変更してプロジェクトが動き始めるも、ビルのデザインについて、日の丸のように見える最上部の円形空洞を2本の日本刀が支える形になっていると物議を醸した。ただどう控えめに見ても日本刀には見えず、他にもビルが風水で上海を支配しようとしているだとか、いちゃもん以外の何でもない話ばかりなのだが、森ビル側は最終的に四角い空洞が空いた現在のデザインへと変更した。それでも不満に思う輩がいるようで、建設現場の外周壁に貼られたビルの完成予定図が切り裂かれているのを見かけたことがある。本格的な工事は2005年11月に始まり、2006年11月現在、その高さは300mを超えている。
「上海ヒルズ」の建設が順調に進む中、浦東の幹線道路である「世紀大道」の南側にある「上海ヒルズ」や「グランドハイアット」と、北側にある「東方明珠テレビ塔」やオフィスビル群を、空中廊下と地下道で結んでしまおうという構想が持ち上がっている。上海の日本語フリーペーパー「ジャピオン」によると、空中廊下の方は2段構造で、1段は普通の歩道橋式、もう1段はカフェなどを備えたバルコニー式になる予定という。
「陸家嘴」地区は金融街として、また商業エリアとして、開発整備がどんどん進んでいる。






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