8/15のエントリーでお伝えした上海市の社会保障基金不正融資事件は、遂に上海市トップが更迭される事態へと発展した。
24日、共産党中央政治局は会議を開き、陳良宇・上海市党委員会書記に対し党中央紀律審査委員会が調査を進めることと、陳氏を市党委員会書記から解任し、党中央政治局員としての職務も停止することを決定した。上海市労働社会保障局が社会保障基金を規律に違反して使用したことに関与して、規律と法律に違反した身辺の関係職員をかばい、職務上の便宜を利用して親族のために不当な利益を得ようと図るなどの重大な規律違反があり、政治的に悪影響を及ぼしたことが調査と解任の理由とされている。党中央委員会政治局委員が汚職事件で処分されるのは、95年9月の陳希同・北京市党委員会書記以来となる。
市党委員会書記の職務は、上海市市長で市党委員会副書記の韓正氏が代行する。陳氏は2002年10 月以来、市の共産党トップを務めていたが、不正融資事件発覚以後、市の重要な会議がしばしば韓氏によって主宰されるようになり、先日も韓氏が会議で演説する傍らで、げっそりとやせ細った陳氏の姿がニュース映像で見られたという。
メディアでは、解任と調査に関する党中央政治局の決定事項と決定を支持・賞賛する記事が見られるのみで、陳氏が事件にどう関わったのかについての具体的な報道は今のところなされていない。政治的な安定を保つという思惑から、市党組織・市政府両方のトップを一度に解任するわけにはいかなかったという事情があるとはいえ、上海市共産党のトップが更迭されただけで、基金を預かる上海市政府のトップである韓氏に対してお咎めなしとされた理由はよくわからない。
26日の朝刊には早速、一面トップで党中央政治局の決定が掲載されていた。私は同僚に向かって何気なく、「市のNo.1は捕まったけど、No.2は何で捕まらないの?」と聞いたところ、同僚は通勤バス内で目撃したという女性の話をしてくれた。
バス内の液晶テレビで流れるニュース番組
「陳良宇を上海市党委員会書記から解任し・・・」
女性
「ふん!!やっと捕まったわね」
テレビ
「韓正・市党委員会副書記がその職務を代行し・・・」
女性
「え~っ!?何で陳良宇だけが捕まって、韓正が一緒に捕まってないのよ!?」
「excite」の「世界びっくりニュース」というコーナーに「不名誉な政治家はネットからも削除」という記事が載っていた。解任発表以降、上海市政府のサイトから陳氏の写真やスピーチ記録が一斉に削除されているという。氏の過去の記録を消したところで、氏が関与したとされる汚職事件が消えてなくなるわけでも、同様の汚職事件が防げるわけでもないだろうに、こういう仕事だけはやたらと迅速だ。
ただし、記事にある「中国語のサイトで『陳良宇』を検索すると、エラーメッセージが返ってくる」という記述は間違っている。「百度」や「捜狐」などの検索エンジンで検索すれば、ちゃんと報道記事がヒットする。また「党の政治局からも除名されている」というのも間違い。今のところ「除名」はされておらず、来月8日から開かれる共産党第16期中央委員会第6回総会(6中全会)で解任されると見られている。
党中央紀律検査委員会の干以勝秘書長は26日の記者会見において、「党規に違反した党員に対しては、どんな地位にあろうとも必ず徹底的に調査し、厳粛に処理する」ことを強調し、「調査が進めば、同事件はさらに一部の人たちへも及ぶ可能性がある」と述べている。妻と弟の関与が指摘されている黄菊・党中央委員会政治局員にまで処分の手が伸びるのか。「胡錦涛・温家宝ライン」と上海閥との権力闘争の点からも注目される。
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<追記>9/28
「読売新聞」の記事によると、党中央紀律検査委員会が陳氏と関係の深い局長・副局長クラスの市幹部約20人を拘束し、本格的な取り調べを始めた模様という。ただ別の記事で、この事件が中央にまで波及することはないとの見方を紹介している。
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<追記>9/29
「MSN毎日インタラクティブ」の記事によると、上海市の局長クラス以上は現在、逃亡防止のためにパスポートを管理されている模様だ。事件関係者の処分は、政治的な混乱を避けるためにも徐々に進むと見られているというが、いずれは韓正・市党委員会書記代理も更迭されることになるのだろうか。
また記事では香港紙「信報」を引用しながら、陳氏の弟・陳良軍氏や株価の不正操作などの容疑で有罪となった周正毅氏を通じて、社会保障基金が上海の不動産開発に流れていた可能性があり、今回の事件発覚が不動産価格の下落を招くとの予想を紹介している。


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