去年の11月、吉林省吉林市にある中国石油天然ガスグループ(CNPC)傘下の化学工場で発生した大規模な爆発事故によって、ベンゼンなど大量の有毒物質が松花江に流入し、下流にある黒竜江省ハルビン市の水道供給が1週間にわたってストップするなどの大きな被害が出て以来、中国広東省韶関市で精錬工場からカドミウムが流出していた事件、湖南省の湘江に工場からカドミウムが流入したことによる流域住民のイタイイタイ病発症、河南省鞏義市の石油備蓄所から重油約6トンが黄河支流に流出した漏洩事故など、有害物質による河川の水質汚染が連日報道されている。もちろん、それ以前に水質汚染が存在しなかったわけではなく、松花江の事故をきっかけに国民の関心が集まり、汚染の事実を隠したりいい加減に済ませたりすることができなくなっただけに過ぎない。カドミウムや重金属による河川や耕地の汚染はすでに相当広い範囲に及んでいるとする広東省環境保護当局の報告もあり、中長期にわたって有毒物質が垂れ流され続けてきた実態がうかがえる。
こんな報道が続けば、私の住む上海の水道水は安全なのだろうかとふと考えてしまう。しかし、一外国人に過ぎない私としては安全と信じて使い続けるしかない。野菜の残留農薬にしても同じことが言える。大型スーパーで売られている「有機野菜」なるもの--「ホントに有機栽培なの?」と疑問に思わないでもないが、値段は普通の野菜よりかなり高め--を買うか、日本人向けのスーパーで販売されている高価な野菜を買えばひとまず安心できるが、外食するとなると、よっぽど高級なレストランか日本料理屋でなければ信用はできまい。まったく無頓着なのも問題だが、あまり過敏になりすぎては中国で生活していけない。
もっとも、コップに入れて放っておけば沈殿物がたまり、バスタブに張れば黄色く見える水道水である。シャワーや手洗い、食器洗いや洗濯などの生活用水にはさして気にせず普通に使っているのだが、さすがに飲み水として利用することはない。
ソフトドリンクの消費量も少なくはないが、普段は写真のような給水器を使用して、ミネラルウォーターを飲んでいる。給水器の大きさは大小さまざまだが、自宅やオフィスなどどこにでも普通に見かける。都会に住む中国人はみなこうしたミネラルウォーターを飲むのが当たり前なのかと思ったら、上海人の同僚たちは自宅では水道水を沸かして飲んでいるという。「貧乏だからね。それに、政府が水道水は安全だと言っているから、それを信じて飲んでいるのさ」と、同僚はおどけて言った。また、レストランや喫茶店で出されるお茶は明らかに水道水を沸かしたもので、そのカルキ臭さには本当に閉口させられる。食事中に大量の水を飲む癖のある私としては、反射的にスプライトなどのソフトドリンクに手が伸びてしまう。・・・
さて、給水器にはもちろん標準でお湯を沸かす機能が付いている。ペットボトル入りのソフトドリンクが普及しているとはいえ、多くの中国人は冷たいものは身体に悪いと信じており、夏でも熱いお湯は絶対に欠かすことができない。インスタントコーヒーを飲む人は多くなく、「主飲」は何と言ってもお茶であるが、クコの実を入れたお湯を飲んだり、あるいは何も入れずに白湯で飲む人もいる。コーヒーが「主飲」である私も、広州留学以来、さしたる違和感もなく白湯を飲むようになっている。飲み物は人それぞれだが、ビンやペットボトルに注ぎ、絶えず口にしながら仕事をしている光景は共通している。
ある取引先の工場では、給水器は置かれていないが、会議棟にある大きな釜で水道水を沸かしており、各部署の人たちがしげしげと魔法瓶を手にお湯を汲みにやって来る。むろん夏でも、蒸し暑い工場の中で熱い白湯を飲んでいるわけである。
給水器は、たいてい右のボタンからお湯が、左のボタンから普通の水が出るように作られている。我が家の給水器はちょっとだけ高性能で、冷やす機能も付いている。だから、日本のように夏でもお茶を作り置きしておく必要はない。
写真にあるミネラルウォーターのボトルは、19リットル(約5ガロン)入で16元となっており、初回購入時には空ボトルのデポジットが60元かかった。業者が電話1本でいつでも届けてくれる。上海の路上では、自転車付きのリヤカーあるいは小型の原付トラックなどにボトルを満載して運ぶおじさんを、しばしば見かけることだろう。冬の冷たい風が吹き付ける冬の日も、刺すような日差しが照りつける夏の日も、あれだけ重いボトルを運ぶのはホントに楽な仕事ではないなと思う。・・・


para1002n(ぱら仙人)さん、Free Flight さん、コメントありがとうございます。
中国では、水道水は言うまでもありませんが、ミネラルウォーターでさえ必ずしも信用できないところが恐いところです。とは言っても、1000万の人口を抱える上海でも普通に飲まれていることですし、一外国人である私が過剰な反応をしても仕方がないと思うわけです。昨年以降、食や水の安全性を脅かす事件がマスコミでしばしば報道され、中国消費者の関心も高まっているため、今後は政府や業者もこうした声を無視できず、より安全なものを口にできるものと期待する次第です。
まかぼろさんには、いつもご自身のブログにて私の記事を紹介していただき、本当にありがとうございます。「ちゃいねる!」への登録はもちろんOKです。これからも当ブログをよろしくお願い致します。
投稿情報: ユエカン(管理人) | 2006-01-25 20:05
はじめまして
水道水は必ず沸かしてから飲むように注意を受けました。そのままやると、鉢植えの花が枯れると脅かされました。熱湯を冷ましていると雲母のようなきらきらしたものが出来ます。上澄みを取って、もう一度沸騰さしても冷ますと必ずきらきらした結晶が出来ました。黄土に含まれているアルカリ成分が明礬(ミョウバン)の結晶になるのです。上澄みを取っても冷ますと過飽和状態になるので何度繰り返しても同じです。手ごわい水だと思いました。20年前のことです。走り回って喉の乾いた子供たちは、水道の蛇口からがぶがぶ飲んでいました。見ていて、羨ましいなと思いました。 中国では、知らなければ当たらないらしい。
投稿情報: para1002n(ぱら仙人) | 2006-01-25 17:29
この給水器は懐かしいですね。冷水も熱水も出るし、小職も大好きな珈琲(インスタントですが)を飲むのに、本当に重宝してました。
日本でも最近、同じ様な物が出回ってますが、水の補充が非常に高いので、気軽には使えません。
因みに小職が上海に居た頃(02年)、新聞で上海市当局は3年乃至5年の内に、水道水を飲める様にすると、発表して居りましたが、計画中折れ、実現も未だ先の様子ですね。
小職は無理なのでは? と思ってますが。
投稿情報: Free Flight | 2006-01-21 11:06
毎回読ませていただいております。
勝手な話でございますが、中国見聞録 ~上海駐在日記~を「ちゃいねる!」に登録させていただきました。
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もし都合が悪いようでしたらご連絡ください。
次の記事楽しみにしてます。
追伸:
先日はメールいただきありがとうございました。
投稿情報: まかぼろ | 2006-01-18 23:52