上海の街を歩けば、朝から夜まで、とにかくあちらこちらで屋台が商売をしていることに、すぐ気付くだろう。こうした屋台で売っている食べ物は、一般的に【小吃(シャオチー)】と呼ばれる。「おやつ」とか「間食」といった意味だが、そうした訳ではこの言葉の持つ独特の雰囲気を表せていないように思う。
「小吃」のメインは、羊肉などの串焼だ。自転車の荷台に炭火の細長いコンロを取り付けて焼いているのを、街のどこかで必ず見かけることができるはずだ。「小吃」には他に、どす黒い色したゆで卵【茶叶蛋(チャーイエダン)】やその臭いから近づき難い揚げ臭豆腐、【凉粉(リァンフェン)】と呼ばれるきしめんのようなところてんのようなぷりぷりした食べ物、小麦粉をこねて焼いた餅【油饼(ヨウビン)】、焼き芋、焼き栗、ゆでとうもろこし、リンゴ飴、そしてみかんやパイナップル、スイカ、ハミ瓜、サトウキビなどの果物もある。
屋台の規模は小さく、基本的に1屋台1品となっている。自転車付きのリヤカーに炭火のコンロを設置しているのやら、時代劇に出てくる魚売りのように天秤を担いでいるのやら、形態はさまざま。羊肉串焼に限って言えば、なぜかウイグル族の割合が高い。
屋台は特に、バス停や交差点、地下鉄出口や大型スーパー特に人の集まる近くに何軒も集中する。私の住む【社区(コミュニティ)】のゲートの前には、夜になると毎日できる屋台がある。机と椅子を並べ、ガスのボンベとコンロを持ち込み、雨の日にはシートを広げた屋根までこしらえ、商売をしている。かなり本格的だ。
上海に来た頃は「やたらと多いな」くらいにしか捉えていなかったが、上海生活に慣れてくるにつれ、「小吃」はひとつの文化であり、これなくして上海人の生活は成り立たないのではないかとさえ考えるようになった。衛生的には問題あるかもしれないが、街を歩いて小腹が空いたら気軽につまめるし、出勤前出勤後の【白领(ホワイトカラー)】が腹ごしらえに立ち寄る姿もよく見かける。以前留学していた広東省の広州にもこうした屋台はあったが、上海ほど多くはなかった。広州には、飲茶という文化が厳として存在しているからだろう。
上海の路上経済は、こうした「小吃」に留まらない。CD&DVDやパソコンソフト、ウォッチやバック、ベルトなどの海賊版の品々も路上で売っている。こうした輩は、自転車の荷台の置かれたスーツケースの中に海賊版を並べ、あちこち移動しながら商売をしていることが多い。いざとなれば、すばやく逃げることもできる。また多くの外国人が訪れる観光地には、「ロレックス6つで1,000元よ!」などと日本語で売り込みに来る迷惑な輩が多い。
どこで手に入れたかは知らないが、花瓶やカップ、財布などの小物やバック、靴やサンダル、CDケースなどを、歩道に大きな風呂敷を広げて売る露店もある。私の彼女は、グッチの小銭入れを5元で(!)買った。中古や売れ行きのよくなかったのを集めて売っているのか、それともたんなる海賊版なのか、“リヤカー書店”もあちこちで見かける。狐やら虎やらの毛皮を売り歩いている輩もいる。
また街を歩いていると、すれ違いざまに「携帯いらんか?」と話し掛けてられることがある。これは、スリなどの不当な手段で手に入れた携帯を売り飛ばしているのだろう。「永楽生活電器」という大手家電量販店の携帯電話売り場で、「携帯いらんか?」と声を掛けられたことすらある。
――――――――――
――――――――――
<追記>12/17 写真を差し替え


コメント