■上海の理髪店
もし女の子なら100元、あるいはそれ以上する美容院へ行くかもしれない。しかし男である私はかなり適当なので、いつも近所の安い理髪店へ行く。
洗髪付きで20元。安い分だけ仕事も雑だ。日本のようにはきちんと髪の毛をそろえてくれず、翌日の朝、鏡をよく見てみると、寝癖でもないのに髪の毛がぴょーんと跳ねていることがある。別にとんでもない髪型にされるわけではないので、こんなものかとあきらめて、私は毎回、跳ねて目立つ部分を自分で切っている。
上海の床屋の前にも、日本でおなじみのサインポールが立っている。しかし、デザインはさまざまで必ずしも「赤・青・白」の三色ではない。
上海では、お店に入るとまず洗髪をしてくれる。ここでの洗髪は、日本のように洗髪台でたっぷりの水を使ってすばやく洗ってくれるのではない。まず椅子に座って10分くらい、シャンプーを少量の水で泡立てて頭を隅々まで掻いてくれた後、洗髪台に行ってシャンプーを洗い落としてくれる。頭を掻いてもらっている間は、気持ちよくて眠くなってしまう。マッサージや耳掻きなどのサービスはオプションで付けられるが、少なくとも私の知る限りでは、顔を剃るサービスはない。たとえあったとしても、あの適当さで剃られるくらいなら遠慮したいところ・・・。
■「風俗床屋」
床屋はそれこそ上海の街中に点在してるが、中にはちょっと様子のおかしい床屋がある。風俗店である。その数は、場所によっては一般の床屋をはるかにしのぐ。私の住む【社区(コミュニティ)】のゲートを出た通りにある12軒の床屋のうち、10軒は風俗店だ。外国人駐在員が住む環境なんだろうかと、ときどきふと思うことがある。
これだけ数が多いと、一般の床屋と間違えてこの「風俗床屋」に入り込んでしまう危険性があるのではないかと思われるかもしれない。だが、心配ご無用である。一般の床屋と「風俗床屋」の見分け方を、ここで紹介しておこう。・・・
・店内に若い女の子しかおらず、散髪や洗髪の設備が見当たらない。→風俗度99%
・店内の明かりがピンク色で、女の子は露出度がやたらと高く、外を向いて座っていたりする。→風俗度120%
・目が合うと、女の子が「帅哥!(かっこいいお兄さん!)」と叫び手招きする。→風俗度500%
結論:一般の床屋と風俗の床屋を見分けられないやつはただのバカ。上海に慣れているかどうか以前の、常識力があるかどうかの問題。ちなみに、決してきれいとは言えない彼女たちに「帅哥!(かっこいいお兄さん!)」と手招きされると、体中に悪寒が走るので、目を合わせないように気を付けたい。
さて、右の写真を見てもらいたい。左中央の黄色い横断幕には、
「坚决铲除卖淫嫖娼丑恶现象
(醜い買売春という現象を断固として取り除こう)」
と書かれている。しかし、写真の右下に見える理髪店は“風俗度120%”の「風俗床屋」。売買春一掃を謳う横断幕のすぐ下で堂々と営業している。これは、よくできた笑い話のようだが、浦東のある街角の実際の風景である。
以前、「風俗床屋」の手入れらしき場面に出くわしたことがある。だが、何か別の容疑だったのだろうか?近所の店には手が入っていないし、手の入った店も数日後には営業を再開していた。
まさか日本の警察と同じように、「現場を押さえないと逮捕できない」なんて言い訳をするのだろうか?中国の公安にとって、有無を言わさず強制排除するなんてことは、その気になれば簡単な話だと思うのだが。裏でリベートを払っているからなのか、あるいは当局者やその友人が、接待したりされたりを含め、普段から利用しているからなのか、大げさなスローガンを掲げているわりに、当局は「風俗床屋」を放任している。いや、放任というよりは野放し状態に近い。
風俗店や援助交際が氾濫している日本から来た日本人が、「なんで社会主義国家に風俗店なんかがあるんだ!」なんて騒いでも仕方がない。ここで私が言いたいのは、中国では実際の行動が伴っていないスローガンがやたらと目に付くということだ。
海賊版撲滅キャンペーンなどがいい例だ。取り引き先工場の改善するとの約束もそうだ。聞こえのいい言葉とは裏腹に、まったく実行力が伴っていない。そうして今日も、街角には海賊版が溢れ、工場では同じミスが繰り返され、「風俗床屋」は繁盛している。
――――――――――
<追記>12/8
我が家の近所に新しくオープンした理髪店は、シャンプー&カットで18元、しかも開店記念キャンペーン中は半額の9元となっている。「高級理髪師」というからどんな人が出てくるのかと思ったら、田舎から飛び出てきた感じ太った若い男。モヒカン金髪の頭をした店員もいるイマドキの若者ばかりの中で、ひとりだけやけにダサく、明らかに店内で浮いている。急に不安になった・・・。
彼はハサミと取り出すと、マイペースでちまちまのろのろ切り始めた。丁寧なのはいいのだが、次第にこちらもいらいらしてきて、たまらず「もっとばっさり切っていいから!」と言うと、「あんまり短くするとよくないのに・・・」と不本意そうにバリカンを取り出した。・・・
『上海ウォーカー』の1月号に「最新美容院ガイド」という特集記事が載っていた。日本人スタイリストのいる美容院が紹介されていて、カットだけで200~400元以上とある。パーマやカラーリングは400~800元。およそ700元で1万円になるから、日本の料金とそれほど変わらなくなる。18元と400元、私のような者にその差は理解できない。・・・



あなたが書いた文章を拝見しまして、とても面白くて、勉強になりました。しかし、ひとつ質問してもよろしいでしょうか?あなたはどのような感情を持ち、上海に住んでいらっしゃるのですか?ほとんどの文章の中に上海に対して、あまり好きじゃない
投稿情報: 上海外资注册 | 2010-11-25 11:25
> 酒井さん
このエントリーは2005年当時のことで、現在は上海市内に約60店舗を展開している「文峰」という美容チェーン店に通っています。妻が会員カードを持っているからです。
妻の持っている会員カードは“7割引のカード”。1000元先払いでカードを購入することにより、店内で受けたサービスは定価の7割引の金額がカードから引き落とされていく仕組み。市内「文峰」のどの店舗でも使用できます。
こうした会員カードは他の美容チェーン店でも同じ仕組みで、300元で“3割引カード”、500元で“5割引カード”などがあるようです。
投稿情報: ユエカン(管理人) | 2007-09-25 23:01
上海中山公園の近く床屋があるんですが、そこで洗髪付きで90元、結構よかったですよ。安いところだと絶対きちんとやってくれないですよ。
投稿情報: 酒井 | 2007-09-24 01:48
はじめまして。
私は蘇州が好きでよく行くのですが、
やはり蘇州にも多くの「床屋」が存在します。
その通りをブラブラ歩いていると、明らかに
未成年、それも18歳以下とおぼしき小姐を
目にします。どういう経緯でその仕事に就いているのか聞いてみたい気もしますが、
ちょっと恐くて聞けませんでした。
投稿情報: 紅包 | 2006-02-05 19:29
>lynnさんへ
批判分析的な皮肉めいた書き方をしているため、そのように受け取られてしまったのかも知れませんね。しかしたとえ大好きだったとしても、それを前面に押し出した文章は果たして面白いでしょうか?私は、スパイスの効いていない文章など読んでいても面白くないと考えています。
おっしゃる通り、どんな国でもいいこともあれば、悪いこともあるものだと思います。上海生活においても、楽しいこともあれば、腹の立つことも少なからずあります。でも本当に嫌いならば、わざわざ廃品回収のおじさんや屋台のおばあちゃんにスポット当てたりするでしょうか?
ネット上には、中国や中国人を一方的に非難したブログが少なくありません。しかし私は、自分のブログが客観的中立的となるように、できるだけ生の上海を伝えられるように心懸けているつもりです。過度の非難はしませんが、手放しで称賛したりもしません。これが、当ブログにおける私の態度です。
私個人の感想としては、上海の街をそこそこ気に入っており、上海で出会ったかわいい彼女や、ときにやさしく、ときにおバカな同僚たちもいることですし、当分、上海を離れるつもりはありません。
柳さんが納得のいく返事となっているかはわかりませんが、いかがでしょうか?
投稿情報: ユエカン(管理人) | 2006-01-30 17:21
ユエカンさん、
あなたが書いた文章を拝見しまして、とても面白くて、勉強になりました。しかし、ひとつ質問してもよろしいでしょうか?あなたはどのような感情を持ち、上海に住んでいらっしゃるのですか?ほとんどの文章の中に上海に対して、あまり好きじゃない感覚が出てくるのではないかとあたしそう感じています。そうすると、すまないほうがいいのではないでしょうか?どんな国でも悪いことがあれば、いいこともあるのでしょう。
柳より
投稿情報: lynn | 2006-01-29 16:27
北京も状況は同じです。うちのアパートの裏手には風俗床屋が軒を連ねています。
売春取締の横断幕の隣で風俗床屋が堂々と商いしているのも同じです。この目で見たときははっきり言ってブラックジョークにしか思えませんでした。
この記事を中国BLOG記事アーカイブプロジェクトに推薦させていただきました。
http://www.chinawalkers.net/modules/weblog/details.php?blog_id=104
投稿情報: まかぼろ | 2005-11-25 15:17